土木/DX

現場のデジタル化に挑む

中田 未知花の写真

土木/DX

現場のデジタル化に挑む

中田は収益管理や写真、書類管理といった、これまで現場で行っていた煩雑な作業をシステム化・データベース化する役割を担っている。作業の効率化を目指す現場の声を吸い上げ、実際にシステム開発を行うベンダーと密に連携しながら、実用的なシステムへと落とし込んでいく。「利便性の高いシステムをつくるために、現場のニーズに耳を傾けつつ、現場の実情を協力会社であるベンダーに正確に伝えることが求められます。現場とベンダーの橋渡し役です」

INTERVIEW

中田 未知花の写真

中田 未知花

MICHIKA NAKATA

理工学部 土木工学科 卒
2009年入社

※内容は取材当時のものです

仲間と達成した地図に残る仕事

もっと現場に楽をさせてあげたい

紙の図面やカメラを抱え、地下40メートルまで下っていく。降りしきる雨が、余計に体にこたえる。中田が駆け出しの頃はまだ、タブレット端末などのIT技術が活用されておらず、一つ図面を忘れれば、現場から事務所まで取りに戻らなければならなかった。工事担当としてポンプ所の施工に携わっていた彼女は、「もっと省力化できないのだろうか」と、常に疑問を抱えていた。

「私が入社した頃は、紙の図面が大半でした。現場に出て図面をチェックするにも、体力が削られてしまいます。社会インフラを支えるという大きな使命のある仕事だからこそ、もっと生産性を上げ、誰もが働きやすい職場にしなければいけないと、当時から危機感を覚えていました」

転機が訪れたのは入社7年目のこと。社内のIT化を推進する部署へと移り、PCソフトのスマートデバイス対応を担当することになった。当時大成建設では、セキュリティと利便性(個人が勝手に情報を持ち出せないこと、1つのアカウントで複数のアプリを利用できること)を考慮した上でタブレットからCAD図面を開くプロジェクトが進行していた。今となっては当たり前になったこの技術も、当時は国内でも事例が少なく、未知の領域への挑戦だった。

しかしながら、知見の少ない技術とあって、そう簡単には事が進まなかった。システムのエラーなどで、プロジェクトが止まりかけたことも、一度や二度ではない。それでも中田は、建築部門や子会社の大成情報システムのメンバー、システムの構築を担当するベンダーなど、様々な関係者を巻き込んでプロジェクトを進捗させていった。原動力となったのは「現場を楽にさせてあげたい」と思った、あの頃の経験だ。

「体力がないと長く続けられない。私が現場にいた頃は、そんなことを感じていました。当時女性の技術社員が業界全体で少なかったのも、そうした影響があったのだと思います。少しでも現場仕事の効率化、省力化を実現させたいと思い、このプロジェクトに取り組みました。現場から『助かっているよ』などの声をもらったときは、嬉しかったですね」

約1年半の歳月を経て、無事にリリースとなった。現場社員がタブレット端末を操作する姿は、今や日常風景である。現場作業の効率化は、今も建設業における大きな課題の一つだが、中田が推し進める大成建設のデジタル化は、日進月歩で進み続けている。彼女がつくる未来が楽しみだ。

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仕事について

  • 仕事のやりがいは何ですか?

    土木工事は橋や道路、ダムといったインフラをつくる仕事であるため、社会で暮らす全ての人を支えることができる点が非常に魅力的です。また私が過去に携わった地下のポンプ所や水処理場は、普段は目にすることができないような構造物で、そうしたものを一からつくり上げるプロセスを見られることも醍醐味の一つです。またそうした現場の仕事を支え、効率化に貢献できるシステムの仕事も大変有意義な仕事であると感じています。

  • 入社理由は何ですか?

    私が就職活動をしていた当時は、土木の現場で女性を積極的に採用する企業が少ない時代でしたが、門戸を開いていたのが大成建設でした。リクルーターや先輩社員に会う中で、皆さんとてもフレンドリーながらも、胸の中に土木工事に対する熱い想いを秘めており、「一緒に働けたら成長できそうだな」と感じたことを覚えています。実際に働いてみても、意識の高い社員が多く、様々なことが学べる環境だと思います。

  • あなたにとって「地図に残る仕事。」とは?

    「未来と現在を繋げる仕事」だと考えています。例えば今から100年前の地図を見てみると、建物や地形から当時の暮らしを想像することができます。同様に、100年後になれば現在の地図も、過去の生活を表すものとして残ります。そのように、私たちが生きた証を後世に残すことができるのは、建設の仕事ならではの奥深さだと思います。

  • 今後の目標を教えてください

    建設業界は、他業界と比べるとデジタル化の流れから遅れており、改革が急務です。私が現在携わっているような現場作業のシステム化は、まだまだ入り口に過ぎず、いち早く現場の知見をデータ化し、次世代に繋いでいくことが大切だと思っています。これから入社する方々は「デジタルネイティブ世代」の人たちになるので、彼らが活用できることはもちろん、データに慣れていない現場の社員たちも使いこなせるシステムを構築できる社員になることが目標です。

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