シビルエンジニア/設計

偉大なる自然に人智が挑む

大槻 亮介の写真

シビルエンジニア/設計

偉大なる自然に人智が挑む

大槻が所属するトンネル地下設計室の役割は、トンネルの設計と、施工現場への技術的な支援を行うこと。そのなかで大槻は鉄道の山岳トンネルを担当し、設計を行うための解析条件の設定をはじめ、構造計算・照査、図面作成に至るまでの一連のプロセスを担っている。地盤調査やボーリング調査、地質の縦断図からトンネルを図面化し、安全性や品質、施工のしやすさを考慮した設計を行うことが彼のミッションだ。「二次元解析や三次元解析などを通じて、設計したものが安全に成り立つ構造物になっているのかを確認しています」

INTERVIEW

大槻 亮介の写真

大槻 亮介

RYOSUKE OTSUKI

工学研究科 社会基盤工学専攻 修了
2020年入社

※内容は取材当時のものです

仲間と達成した地図に残る仕事

見えないトンネルの先には夢がある

幼少期、砂場でトンネルを掘りながら、ふと思うことがあった。「大きなトンネルはどうやってつくるんだろう」。学生時代に土木の学問に進むと決めたときも、大成建設への入社を決断したときも、根底にはそんな思いがあったのかもしれない。新入社員研修を終えたばかりの大槻は、想像以上にスケールが大きいプロジェクトを前に、期待と不安が入り混じっていた。

大槻には、大成建設としても前例のないプロジェクトにおいて、山岳トンネルの解析を行う役割が与えられた。JV工事区間約7.5kmの大規模プロジェクトかつ一部区間で150mの進捗に2年もの年月を要する難工事である。「入社前から、若手にも責任ある仕事を任せてくれる社風であることは知っていましたが、いざ自分がその立場になると、『ここまで任せてもらえるのか』と改めて驚きました」

担当した工区は俗に言う”山が悪い”区間。つまり施工するにあたって困難が多い区間だった。通常のトンネルとは異なり、今回は地上から500m以上もの深い位置に通さねばならず、前例の少ない設計をする必要があった。また、手でも掘れるほどに地盤が脆いという課題もあった。山という偉大な自然の構造物。人間の思う通りにはさせまいというプライドすら感じさせる、複雑な環境が待ち受けていた。

加えて、感染症対策により、現場を確認しに行くことができない困難も重なった。東京・新宿の本社に送信された写真やデータをもとに検討を進めていくしかない。施工現場に寄り添った提案をするために、他の現場を知っている先輩と議論を交わし、結論を導き出した場面は何度もあった。

またあるときは、先輩や上司にも確認をとって解析を進めていたのにもかかわらず、多くの建設関係者や専門家が集まる会議で、「解析の考え方が異なっている」との指摘を受けてしまった。現場はイレギュラーな断面であるにもかかわらず、一般的な状況と同じ前提条件のまま解析を進めてしまっていたのだ。すぐさま条件の見直しが求められ、軌道修正を行った。

「山岳トンネル設計における難しさは、実際に掘ってみないと分からないところです。どれだけデスクの上で議論を重ねても、予期せぬトラブルが起きてしまいます。毎日変わる状況に対処していくことは簡単ではありませんが、面白いと感じます」

砂山でトンネルを掘って遊んでいた頃の記憶が蘇る。「大きなトンネルは、こうやってできあがるのか」。かつての少年は本物の山を前に、今日も歩みを進めていく。

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仕事について

  • 仕事のやりがいは何ですか?

    解析の業務や山岳トンネルの工事は、「やってみないと分からない」からこそ面白いと感じます。どれほど慎重に検討を重ねても、それが現実になるとは限りません。ですが、解析結果がいざというときの保険として機能します。事前に危険な箇所が分かれば安全対策を練ることができますし、品質向上のための施策も講じることができます。大成建設には、私のような経験の浅い社員に対しても、重要なプロジェクトを任せてくれる風土があるので、重大な役割を担っていると実感しながら日々の仕事と向き合っています。

  • 入社理由は何ですか?

    幼少期からトンネル工事に興味を持っていたのですが、転機となったのは、学生時代に大成建設の先輩社員と出会ったことです。その人は同じ大学に通う社会人ドクターの方で、現場の苦労話や楽しかった仕事のエピソードを教えてくださり、「こんな経験をしてみたい」と感じました。また当社のインターンシップに参加したときにも、作業所長や若手社員がいきいきと働く姿を見て、現場の楽しさは本当なのだと確信しました。そうして先輩方と話すうちに会社の雰囲気に自分が合うこともわかり、最終的に入社を決めました。

  • あなたにとって「地図に残る仕事。」とは?

    インターンシップでお会いした作業所長が、自身の携わった現場は「いつでも当時の想いや経験を思い出させてくれる場所」であると話されていたことが心に残っています。私はまだそれほど現場を経験していませんが、思い出の場所を実際に自分の手で残せる仕事こそが、「地図に残る仕事。」なのかなと感じています。

  • 今後の目標を教えてください

    将来は作業所長になりたいです。まずは設計の考え方を十分身につけて現場に行き、設計と施工の考え方を融合させてプロジェクトにあたりたいと思います。とはいえまだ設計の業務では、先輩や上司に言われたことを行動に移すだけで精一杯の状態なので、任せていただいた仕事以上の成果をあげられる人材を目指したいです。山岳トンネル同様、進む道に壁はありますが、一歩一歩着実に進んでいきたいと思います。

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同僚からのコメント

市田 雄行

シビルエンジニア/設計

大槻君が入社して以来、上司として接してきましたが、彼の強みは飲み込みの早さだと思います。私の指示を聞いて、自分で理解して実行に移し、成果を上げてくれています。また失敗をすることもありますが、必ず次に活かせるように粘り強く仕事を進めていくタイプです。今はまだトンネル工事の一部分に携わったに過ぎませんが、今後は現場に行き、実際に肌で感じながら経験を積んでいってほしいと思います。そしてゆくゆくは、土木設計部の力の底上げをしていく人材になってくれることを願っています。

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