土木/施工

大自然と向き合い、ダムを完成に導く

森 千裕の写真

土木/施工

大自然と向き合い、ダムを完成に導く

トンネルやダム、橋など公共インフラの工事を担い、現場の監督者として安全、品質、工程、コストなどあらゆるマネジメントを行うのが、土木の仕事だ。森はダム建設の現場で、ダム堤体やコンクリートの躯体を支持する岩盤、掘削でできた法面を保護する「法面保護工」を主に担当し、雨、風などによる風化、侵食から法面を守る役割を任されている。「ダム工事は自然を相手にしているため、地山の特徴や湧水などのアクシデントにも対応しつつ、作業の優先度と工程を考え、施工を進めています。様々な困難を乗り越え、仕事を完遂したときの達成感は代えがたいものです」

INTERVIEW

森 千裕の写真

森 千裕

CHIHIRO MORI

生物資源科学部 生物環境工学科 卒
2019年入社

※内容は取材当時のものです

仲間と達成した地図に残る仕事

父の背中を追いかけて。

森がダム建設に携わっているのは、必然だったのかもしれない。父の仕事の関係で、幼い頃から何度もダムに連れられていた。当時はダムが何であるのかも理解していなかったが、大迫力の堤体や、自慢げにダムの話をする父の姿は目に焼き付いている。昔、父が手がけたようなダムをつくり、地図に残す仕事がしたい。幼少期からの夢を叶えるべく、森は大成建設に入社した。

念願叶って、初めての配属で九州のダム工事に携わることになった。待ちわびていたダムの建設現場。だが、森が想像していたより、工事は何倍も困難なものであった。

「ダム建設は掘削、トンネル、躯体の構築、仮設備、基礎処理工など多くの工種があり、工程に合わせて協力会社も替わります。このような複雑な工事を進めていくためには、大成建設の社員同士だけでなく、工事担当者や専門工事会社、資材搬入会社とのやり取りなど、膨大な量の作業調整や話し合いが必要です。150人以上が働く現場でしたので、それぞれの工程、工区で何をすべきか把握するだけでも一苦労でした」

「当時私は打設するコンクリートの品質管理を担当していたのですが、ダム堤体は同じブロックの中でも場所によって打設すべきコンクリートの種類や配合が異なります。その都度コンクリートの品質管理試験を行う必要があります。担当した当初は経験が少なく、良いコンクリートの性状も分かりませんでしたが、上司や担当業者さんに教えてもらいながら日々勉強を重ね、なんとか乗り越えられたと思っています」

作業が捗らず悩んだこともあったが、周囲のサポートもあって工事はスケジュール通りに進んでいった。配属時は10%未満だった堤体の進捗率が95%まで進み、完成間近となったとき、森は次の現場への異動が決まった。「今日で最後だから、見に行ってみようか」。異動前日、上司に誘われ工事の全景を見に行った。

「工事終盤に差し掛かった現場を目にした瞬間、それまでの出来事が走馬灯のように蘇ってきました。たくさんの苦労がありましたが、それも今では良い経験になっています。私の仕事で地元の方々が洪水の被害から守られ、安心した生活を送れることを想像すると、胸がいっぱいです」。達成感を胸に、新たなダム現場へと向かった森。憧れた父の存在に、ほんの少しだけ近づけた気がした。

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仕事について

  • 仕事のやりがいは何ですか?

    計画段階から関わった作業が、施工完了まで至った瞬間に、やりがいを感じます。土木工事は自然を相手にしているため、施工中に予想できないトラブルが起きることも多く、施工方法の検討から悩むことも多々あります。その際は作業所員や専門工事会社の方々と色々な施工案を出し合い、安全で円滑に作業ができるように手順を考えます。その後、資材や機械類の準備をして施工を行っていきます。多くの人と協力し合いながらやり遂げた仕事は、大きな達成感とやりがいを得ることができ、今までの苦労も忘れてしまうほどです。

  • 入社理由は何ですか?

    土木の仕事に興味を持ったきっかけは、父がダム建設の仕事に携わっていたことでした。幼い頃から憧れていたこともあり、就職先は建設業界を志望。なかでも就職活動のときに感じた大成建設の魅力は、先輩社員の人柄と作業所の雰囲気です。現場見学会で工事現場を案内してもらった際に、若手の方が積極的に発言するなど、自由闊達な打ち合わせを行っている姿を見て、風通しの良さを感じました。また就職活動中、将来に悩んでいたときも先輩社員に何度も相談に乗っていただきました。そうして先輩社員と接するうちに、何事にも全力で取り組む人が多く、一生懸命仕事に向き合える環境があると感じ、入社を決めました。

  • あなたにとって「地図に残る仕事。」とは?

    地図に載るような雄大な構造物を構築し、その構造物が地域を象徴するランドマークとして親しまれ続けていくことです。特にダムは、建設を行う地域と密接に関わるものです。自分が携わった構造物が地域のシンボルとして親しまれ、長きにわたって人々の生活や社会に貢献していけるようなダムをつくりたいと思っています。

  • 今後の目標を教えてください

    現在の目標は、現場で誰からも信頼される技術者になることです。今はまだ自分の担当しているエリアの工程や品質、安全の管理をするだけで精一杯ですが、徐々に広い視野を身に付けて、現場全体を俯瞰しながら、工事を進められるようになりたいです。また職人さんとの積極的なコミュニケーションも心がけています。現場で実際に作業を行っている人の声を聞くことは、問題点をいち早く発見することにつながると考えています。

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同僚からのコメント

伊東 稔明

土木(機械)

森さんとは同期入社で、現在同じ現場で働いています。一見大人しそうに見える森さんですが、芯がしっかりしていて、職人の方に対しても堂々と自分の意見を発することができます。男女の違いはあれど、現場に出てしまえば求められる役割は同じ。様々な人と積極的にコミュニケーションを取っている姿を見ると、私も負けていられないなと非常に刺激を受けています。まだまだ土木の現場の最前線で活躍する女性社員は多くありませんので、その先頭でキャリアを築いていってほしいなと思います。

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