土木/トンネル技術

トンネル工事技術の総本山

宮本 真吾の写真

土木/トンネル技術

トンネル工事技術の総本山

土木工事は、経験工学といわれるように現場で学べることが非常に多い。トンネル工事も同様に、マグマが固まった地層や、はるか昔は海の底だった地層など、一つとして同じ現場はなく、経験しなければ知りえない知見が山のようにある。しかし、一つひとつの工期が長いため、10年以上の現場経験を持つ宮本であっても、トンネル工事の現場は3カ所のみ。「限られた経験値だけではカバーしきれない技術的な知見を現場へ提供したり、トンネル工事の安全性・生産性を高めるための技術開発を行ったり、若手社員の育成を行ったりするのが、トンネル技術室と私の役割です」

INTERVIEW

宮本 真吾の写真

宮本 真吾

SHINGO MIYAMOTO

創造理工学部 社会環境工学科 卒
2009年入社

※内容は取材当時のものです

仲間と達成した地図に残る仕事

若手を育て、未来へつなげる

福島県の山岳トンネル工事からキャリアをスタートした宮本は、宮城県の都市トンネル工事、岩手県の山岳トンネル工事と経験を重ねていくうち、ある想いが強くなっていった。それは「現場の若手社員が技術的知見を吸収しやすい環境をつくる必要がある」というものだった。

近年、働き方改革によって残業は厳しく制限されるなど、高い生産性が求められるようになっている。その反面、宮本が若かった頃のように、休みの日に専門書を読んで知識を習得したり、夜、所長や先輩のところへ教えを請う時間も限られてしまう。「今は時間や労力をかけて何とかする時代ではありません。ただ、知る機会、教えてもらう機会がどんどん減っているのは、顕在化してきた課題でもあると思います」

そのような現場の知識不足を補うために存在するのが、トンネル技術室。しかし、同部署は大成建設におけるトンネル技術の総本山ともいえる存在であるため、現場で数々の経験を積んできたベテラン社員で構成されていた。しかも、そのほとんどが役職者である。そのため、若手社員にとっては簡単に相談のできる相手ではなく、「遠い存在」になっていた。

「若手社員が、もっと気軽にトンネル技術室を頼れるようにするには、両者の橋渡し役が必要だと思いました。そう思っていた時、今の上司から声をかけてもらい異動できたので、全現場で働く若手社員とのネットワークづくりに力を注いでいます。異動してきた時期がコロナ禍だったため、まずはWeb会議システムを活用し若手社員を対象に教育の機会を提供。従来、対面でしか教えることができなかったことを、Webを通じて提供できるようにしたことで、学びの機会を増やせたと思います」

トンネル技術室に異動してから数年が経過し、状況は少しずつ変わってきている。若手社員から1日に何件も問い合わせが届くなど、トンネル技術室は以前よりも近しい存在になった。生産性が求められる時代においても、若手が成長できる環境が整ってきたのは、宮本にとって何よりの喜びだ。中には、宮本に「これからも色々相談させてください」と頼る若手社員もいる。

「『いつでも相談できる相手』というのが安心感につながっているのかもしれません。少しでも役に立てているのだと実感できるので、嬉しいですね。それから、私が今の部署で仕事を全うしている姿を見せることは、『現場以外にもキャリアがある』というのを伝えるメッセージにもなります。作業所支援や技術開発など、現場以外にも活躍できるフィールドはたくさんありますので、そうした道があることも若手社員たちに知ってほしいです」

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仕事について

  • 仕事のやりがいは何ですか?

    トンネル技術室は、トンネル工事の全現場を俯瞰できるポジションであり、現場の全員と知り合うことができます。そうした出会いの中で、自分の知識が広がっていく楽しさを感じています。技術は「ここまでで十分」という臨界点がありません。その気にさえなれば、ずっと新しい知識に触れ続けることができるのが当社です。それは技術者冥利に尽きます。そして何より大成建設は、自分の考えたことを実行できる環境が整っているので、その点は他社にない醍醐味だと思います。

  • 入社理由は何ですか?

    街づくりをしたいと不動産会社を志望していましたが、所有している土地以外の開発も行いたいと思い方向転換。カメラが趣味でよく撮影していた土木構造物をつくるほうが面白そうだと建設会社を検討し始めました。大成建設の会社資料を見ていたとき、発破で掘り進める山岳トンネルの存在を知り「見たことない、やってみたい!」と受けることに。最終的に入社を決めた理由は、自由闊達に仕事に取り組むことができる雰囲気が、自分に合っていると感じたからでした。

  • あなたにとって「地図に残る仕事。」とは?

    トンネルは非常に安全な構造物です。例えば、大雨が降って土砂崩れが発生してもトンネルの中は安全ですし、地震時には揺れが小さくなり崩壊することはありません。寒い地域だと、吹雪を避けることはもちろん、坑内は比較的暖かいので路面が凍結することもほとんどなく、車を運転しているときにトンネルに入るとホッとするものです。トンネルは地図上では点線でしかありませんが、地域の人たちの「安心感と利便性を高めることができる仕事」なのかもしれません。

  • 今後の目標を教えてください

    トンネル工事という観点では、安全性と生産性を高めるための技術開発に貢献したいという気持ちが強いです。ツルハシで穴を掘っていた時代からすれば、かなり機械化が進んでいますが、爆薬を設置したりする作業は、今も人の手によって行われています。こういった危険な作業をすべて機械化することで、安全性や生産性を高め、建設現場を変えることに貢献したいですし、担い手不足の解消にもつなげていきたいと思っています。

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