新阿蘇大橋建設プロジェクト

土木工事の司令塔として、
現場をマネジメントする

#05工事担当
(監理技術者)

藤本 大輔

DAISUKE FUJIMOTO

工学研究科 情報制御システム科学専攻 修了/2007年入社

埼玉県出身。学生時代はバスケットボール部に所属していた。ボジションはポイントガード。高校時代までは建築士を目指していたが、ひょんなことから土木の道へ。休日は家族と出かけることが多い。

※内容は取材当時のものです

藤本 大輔の画像

藤本 大輔

DAISUKE FUJIMOTO

工学研究科 情報制御システム科学専攻 修了/2007年入社

埼玉県出身。学生時代はバスケットボール部に所属していた。ボジションはポイントガード。高校時代までは建築士を目指していたが、ひょんなことから土木の道へ。休日は家族と出かけることが多い。

※内容は取材当時のものです

PHASE01

工事の全てを把握する

これまでの藤本のキャリアは、橋と共にあった。2007年に入社して以来、全て橋梁工事を担当。いわば橋のスペシャリストである。そんな藤本をもってしても、新阿蘇大橋のプロジェクトは厳しいものだった。

「短工期であることはもちろんのこと、特殊な地盤や強風など、これまで経験してきたことのない難しさでした。加えて、私自身は初めて監理技術者という立場でプロジェクトを担当することになり、戸惑った部分もあります」

監理技術者とは、施工の技術上の管理を指揮する技術者のことで、施工計画から安全、品質、工程、原価管理まで工事の全てを把握する役割を担っている。つまり、工事現場の司令塔だ。特に本プロジェクトは予測困難な工事環境であったため、途中で施工計画を変更する場面も多く、その都度発注者との協議や調整、品質確認、周辺関係者への連絡対応などをメインに行っていた。

「監理技術者が何をすべきなのか、頭では理解していても、実際の現場はイレギュラーな事態が次々と発生します。監理技術者として携われたことは光栄なことである一方、責任も非常に大きいものでした」

phase1の画像
PHASE02

職人のモチベーションを、いかに向上させるか

一日も早い復旧を目指し、工事は土日の休工日なく、24時間体制で動いていた。ピーク時は年間で350日も稼働。当然シフト制を組んでおり、休みはきちんと取れる環境ではあったが、それだけタイトなスケジューリングがされている証でもあった。そんな工程のなかでも、無事故・無災害・品質トラブルゼロは、是が非でも達成しなければならない。

「本プロジェクトは、何か一つトラブルが起きて工事が止まってしまうようなことがあれば、工期遅延は避けられません。最も重視したのは作業所員とのコミュニケーションです。工事は誰かひとりの力だけでは完遂できず、JV職員や専門工事会社の職人さんたちが一体となり、組織力で取り組む必要があります。作業所全体が同じベクトルを向いて、目標を達成するためには、とにかく会話するように心がけました」

工事の最前線で手を動かすのは職人たちであるため、彼らのモチベーションが工事の品質に影響する。作業で何か困っていることや、気になることはないか頻繁に聞いて回った。ときにはプライベートな雑談や、私生活での愚痴を聞くことも。何でも話しやすい関係を築くことで、トラブルが起きるリスクを最小限に抑え、何かあったときでも協力し合いながら乗り越えられる体制をつくっていった。

「工事は人と人が助け合いながら成し遂げていくものです。互いに気持ちよく仕事ができなければ、作業はスムーズに進みません。良好なコミュニケーションが取れてこそ、良い工事になります」

監理技術者は技術的な専門家のように思われがちだが、求められるのはそれだけではない。工程・品質を保つためには、組織をまとめ、動かしていく統率力が欠かせないのだ。難工事を受け持ちながら、監理技術者として着実にスキルアップしていった。

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PHASE03

チームがまとまれば、できない工事はない

「何事も諦めずに努力を積み重ねれば、達成できない工事はない」。藤本は完成した新阿蘇大橋を眺めながら、そう確信した。

「無事に工事を終えることは、当初想像できなかったのですが、チームが一丸となって目標に向かうことができれば、必ず良い結果が生まれると実感しました。当社の土木社員は、経験の浅い若手社員も多くいたため、的確な指示出しをするのはもちろんのこと、丁寧なフォローも意識的に行っていました。厳しい工程のときこそ、監理技術者という現場全体を指揮する立場として、一歩引いた目線で、冷静に判断することが大切だと思います」

その後、大阪の現場へ異動となった藤本。次に対峙するのもまた橋である。そして監理技術者としての役割も、引き続き担っている。新阿蘇大橋で得た経験を糧に、更なる飛躍が期待される。